「TOKYO 2020」後に向けて ~5G「ライツマネジメントPLATFORM」構想~

2021年7月、「ヴァーチャルシネマ」を実験スタートします。CD、Blue-ray 等パッケージが売れなくなる中、唯一、記録メディアで気を吐く市場、「映画」興行のヴァーチャル版の展開です。現在、映画興行のプラットフォーマーは管理事業者と著作権管理事業者と 著作権使用料の交渉を進めますが、プラットフォーマーの主張は形式的に「リアル劇場同様、製作配給サイドが負担するもの」としました。著作権管理事業者は、「VOD 同様、実質的な配信主体であるプラットフォーマーが負担すべきサービス」と捉えました。
5G時代、リアルとヴァーチャルの境界線は無くなりつつあります。謂わば、市場の「クロスオーバー」がトレンドです。
日本のお家芸であった 組立産業に於いても、技術のクロスオーバーは、業界構造も激変させ、「戦う土俵」自体を変質させます。例えば、EVに於いて、プレイヤーには HONDAのエンジン技術は無用であり、動力はパナソニックの電池技術をgoogleのAIが中枢制御する、という時代です。

ICA が関わる「メッセージ」産業に於いても、過去、音楽産業はレコードの販売、原盤権料分配の最大化、映画産業は興行収入の最大化が目指すゴールでした。
現在、音楽では ある意味、複製頒布、ダウンロード配信等のマネタイズ構造が崩壊しています。
あらゆるマネタイズの「出口」を開拓し、権利者に還元する権利活用の「プラットフォーム」の様な発想が必要となっています。この「出口」開拓の可能性は「無限大」です。

「ICA」とは

世界で益々 SDGsが叫ばれ、更に混沌する世界に於いては「メッセージ」が重要な役割を果たす時代となりました。国家間、特に日本に直結する問題として東北アジアで世界は、今後数年間で台湾海峡、尖閣問題含め地政学的に大きなリスクを抱えています。
一方、21世紀、インターネットにより国家、政治、経済という「レイヤー」を越え、世界の人々が一つに繋がりました。同時に、個々人は、情報の検索、属性を同じくするコミュニティによって考え方が先鋭化し、志向性は交わるところを知りません。
5G時代、映像や音楽等のコンテンツによって、「メッセージ」は、より動的に人々の心に訴求します。

ICA(Integrate Contents Agency)とは、分断される世界と生態系に於いて、「メッセージ(=Contents)」により 調和と融合(=Integrate)を目指す、クリエーター達の代理人(=Agency)。

「メッセージ」は、目に見えないものでありつつ、イメージを現実にするエネルギーを持ちます。又、メッセージが持つエネルギーは、人と人を介し又、物理的に永続的に伝達します。

「メッセージ」の産業

ヨーロッパ中世、宮廷音楽のパフォーマンスは、王侯貴族に向けて、写譜によりその場のみでライブ演奏されました。絵画はその場で現物のみに記録されました。
産業革命を経て、大量プレスの技術的発展によって、一般大衆に向け、音楽、書籍、更に映像は記録され、複製頒布される様になります。そして無限の再生に耐えうる 完璧なバランスと編集を記録する「記録メディア」の時代、その産業は隆盛を極めます。

現在、インターネットによって、これらマス媒体を介さず、一般大衆の間でインタラクティブな発信とコミュニケーションが可能となりました。音楽、書籍、映像といった記録メディアは、サブスクリプション方式により情報として消費され、個別の著作権保護、使用記録等による確りとしたマネタイズが難しくなっています。*グローバル市場に於いて、「記録メディア」のマネタイズ構造の崩壊。(ある種、4DX等 ネットに代替できない「体験」を提供するリアルの場、「シネコン」は「最後の記録メディアの砦」の一つかも知れません。)
2021年現在、「総プロフェッショナル=総アマチュア」の時代に向かい、マネタイズの手段は、専らライブ、記録メディアでない物販に依存しています。*2020年~21年、コロナ禍よりライブ興行は軒並み中止、延期となっていますが。

コンテンツの流通と宣伝、「プラットフォーム」の構想

「プラットフォーム」のトータルコンセプトは、「良い創造性を、マネタイズし、市場の循環を創る」こと。「プラットフォーム」で、クリエーターに求められる機能は、創造されたコンテンツを流通し、ターゲットに訴求、コミュニケートする事です。流通、訴求、コミュニケートするインフラは、リアル、ネット、その両面をクロスオーバーします。
クリエーターは自らのコンテンツが「プラットフォーム」上で流通、訴求、コミュニケートされ、マネタイズされます。クリエーターがプロフェッショナルとして、継続して作品を発表し続ける事を可能にする構造です。*目指す所は、使用記録に応じて 適正な対価が支払われる「記録メディアのビジネス」の再興です。

2021年、ICAは、プラットフォームとして、先ず原始的且つ初歩的機能ではあるものの、現行の物販ビジネスとデジタル配信ビジネスという権利の使用を「出口」とし、権利者に対しては 使用マネジメントされるコンテンツ、権利を登録、エントリーする「入口」を設けます。
多様化したマネタイズの「出口」を永続的に開発し続け、権利者に対してロイヤリティの支払いを実践し、権利をマネタイズする「プラットフォーム」の構築を目指します。