5G革命、「第一幕」「アナログのこころ、デジタルのしごと」

2022年、20年ぶりの円安を更新しました。6月頭に米国FRBの利上げ、7月にはEUも利上げに踏み切ります。先日、(国債と財政面の背景より)日銀黒田総裁はインフレ対策の利上げは行わない事を再度確認しました。益々、日本の円売り、ドルはじめ他国通貨買いが進み、当面、円安は続く事と思われます。結果、現在取り沙汰されている輸入物の物価高は進みます。

逆に先日、TOYOTAが過去最高の業績を発表した様に、輸出産業は半世紀に一度、「輸出」の好機。(但、輸入原材料費の高騰で利益率は下がりますが。。現在の物価高騰を「ウクライナ戦争」が原因とする見方がありますが、根本は、世界で「ジャブジャブ発行された通貨」に対する信用不安がある様に思われます。世界は、その引き締めの利上げに動いています。)

もう一つ、ICAのライツマネジメントに関係する動きについて。中期的に、地球温暖化への法的規制とSDGsの意識の高まりからマーチャンダイジングに使われる「素材の転換」があります。ICAが2022年にビートルズ木製スタンディを発売開始しましたが、元々、この商品は「アクリル」素材で製造する予定であったものです。1967年公開映画「卒業」で、大学卒業を控えた秀才、ベンジャミン扮するダスティン・ホフマンは就職先に悩む中、近づいてきた大人に「これからはプラスティックの時代だ」と言われます。文字通り、70年代以降現在まで、プラスティック産業が自然素材を駆逐した期間でした。

木製、紙製、鉄製、ガラス製等のマーチャンダイジングは、工芸品民芸品中心として高齢化、小規模化し、他はプラスティック素材に駆逐されてきました。これから、時間は掛かりますが10年スパンで、国内外で巻き起こるムーヴメントは自然素材への回帰です。素材、デザイン、製造とも、自然素材を活かした表現のノウハウ、マーケティングの体系化等がマーチャンダイジングの領域を制すものとなっていきます。

一方、デジタルの世界では、コンテンツ・ビジネスに於いては、これまで売り主と使用者の特定が不可能、ある種、「無法状態」、混沌としてきた時代がありました。現在、(先月、一部をレポートした通り)ブロックチェーンの仕組みを使い、膨大なネット上で「唯一無二」を特定する「NFT」がオリジナルのコンテンツに新しい価値付けを行っています。コンテンツ・ビジネスの流れを変える可能性が生じています。

ところで、ひとはモノを考える時、身体を動かし発想する事があります。モノを掴み触れ、視覚に入るイメージや、匂い等は思考に影響します。こころ、思考と身体は繋がっています。

ジェフ・ベゾスはプレゼン時にパワーポイントの使用を禁止しています。ある成功したシリコンバレーのベンチャーは、毎週のブレストMTG時にPCの使用を禁止しています。あるヒットメーカーは、(その手のコンピューター・ソフトがあるにも関わらず)敢えて作曲アレンジの際、自らが好んでいる鉛筆を選び、紙に向かって作業をしています。

我々のライツマネジメントに於いても、デジタルとアナログの二極化が加速しています。

生物はアナログです。一方、「インフラ」はデジタル化が加速します。

生物は「現在の延長上」でない突然変異を起こし、人間の思考も同様です。(現時点では)デジタルは、「現在の延長上」に回答を見出します。ここが、アナログとデジタルの役割の住み分けです。デジタルはアナログの思考を飛躍的に発展させ、実践に於いて効率を高めます。但、その原点にはアナログがあるという事です。

アナログとデジタルは相互補完関係にあり、5G時代、更にデジタルとアナログの融合は進む事と思います。私が新入社員時代、ビクターレコードで社長よりポケットマネーを頂いた会社の標語候補、「アナログのこころ、デジタルのしごと」を今、想い出しています。