世界を繋ぐメッセージ産業、コンテンツ、ライセンスビジネス
2030年に向け、大きな歴史的転換期、時代のターニングポイント
古くは、パクスロマーナの時代、強大な古代ローマ帝国の下で、地中海世界中心にヨーロッパは長期間、平和が築かれていました。その後、古代ローマ帝国の勢いが衰えると、東西に分断され、崩壊に至るまでの間、ゲルマン民族の大移動、オスマン帝国への経済と軍事の重心 移動等により、この世界には混乱と分断が生じます。
歴史は繰り返す。近代では産業革命以降、英国によるパクスブリタニカ。ビクトリア女王の時代、英国は7つの海を制したと言われます。その後、ゲルマン民族の末裔、ドイツが第一次世界大戦後の抑圧をバネに、ヒトラー総統の下、奮起し、経済と軍事共に興隆。第二次世界大戦中の一時期は、ヨーロッパの大半を制し、若し、米国の参戦がなければ、又、東部と西部両面の戦線対峙という無謀を行わなければ、当時の大英帝国はドイツ第三帝国に敗れていた可能性があります。結局、戦争で荒廃する大西洋、太平洋を挟んだ向こう側で力を蓄えた米国が参戦。ドイツそして日本等との戦いを制します。
米国は、英国の後継者として経済と軍事共に興隆し、更に東西冷戦をも制し、世界唯一の超大国のパラダイム、現在の「パクスアメリカーナ」の世界秩序をつくります。
何故か、世界は覇権者と言うトップにある「重石」が取れると、分断、戦争を繰り返す様です。
1991年末、ソビエト連邦が崩壊すると世界平和が訪れると思いきや、それまで平和に協調していた旧ソ連の国々の間で紛争が起きました。国家間に存在する国境は、ある種、軍事境界線。力学の微妙なバランスで維持されてきた為です。
以上、政治と軍事は、自己と他者を区別しつつ、あくなき拡大の方向に向かいます。
経済も同様に、(人類が現在の価値基準を変えなければ)あくなき拡大に向かう傾向にあります。*石油王ロックフェラーの孫たちが建てたワールドトレードセンターのコンセプトは、「World Peace through Trade(自由貿易による世界平和)」でした。が、9.11.で、平和でなく、皮肉にも資本主義の象徴として中東対立のターゲットとされてしまいました。
現在、世界は歴史的な転換点にあると言われます。大きくは米国による政治経済、軍事による覇権が揺らいでいる事が背景にあります。2029年1月、パクスアメリカーナ最後の、トランプ大統領という「重石」が取れるという訳です。幾つかのリスクは顕在化して来ています。ICAは、以前より、トランプ大統領の任期終了後の2029年1月まで、2028年中に世界で生じる各種リスクへ備えなければいけない事に触れてきました。ビジネス上、通貨価値、対象市場と物理的拠点のそれぞれにつき、リスク分散が必須です。(*この通貨、地政学、東京一極集中のリスクに対する再構築は、「百年の計」として日本国家も行わなければいけない最重要テーマ。)
先月、国内リアルの街の風景が10年前と比較し、インバウンドの興隆等で一変している事に触れました。
彼ら外国人観光客は、日本の想い出と、日本のコンテンツを持って自国に帰り、各国で日本の人々や文化への理解を拡げていきます。又、同時に、インターネットで、日本のコンテンツは世界の人々を繋げています。*日本のクリエーター達が現在、各種コンテンツで、海外のメインストリームのグランプリ受賞、評価されるケースが増えている現象は、これら日本の人々や文化へ深まる理解も影響しています。
現在、文化に於いても歴史的転換点にあると言われます。
大きくは、カルチャー面で、欧米による ある種の「覇権」が揺らいでいる事も背景にあります。
歴史は繰り返すと言われますが、古くはスペイン、ポルトガル等の大航海時代から続いた欧米による経済と文化による覇権に対して、現在は徐々に変化が生じています。覇権は、経済面に続き時差をおき、文化面に於いて重心が移動します。
経済ではBRICSの興隆等により、その重心は既に欧米からアジアに移動しています。欧米文化という、ある種「重石」が取れる事で、新たにアジア始めローカルの文化がグローバルにクローズアップされています。
日本に於いては、クリエーターやコンテンツ事業者達が、過去に無い勢いで海外を目指しています。我々もライセンシーとなるライセンサーの東宝は、コロナ明け以降、本気で北米から世界を攻めています。戦時中は戦意高揚に使われた円谷英二の特撮技術、戦争映画に、戦後、GHQが、次にハリウッドが驚いたと言います。
但、政治や経済とは異なり、文化とそのコンテンツは、人間の間で自己と他者を結び付けつつ、分断でなく、融合に向かい得ます。今、円谷の後継者たち、そして東宝は、核爆発によって生まれた「GODZILLA」を持って、その関連コンテンツによって、世界のファン同士を繋げていく様です。

GHQが実写と誤認、円谷特撮「真珠湾攻撃シーン」

2024年3月米国アカデミー賞受賞式「GODZILLA-1.0」
コンテンツというメッセージビジネスの使命の一つは、分断、分散した人々を、共感の絆で繋げ、融合していく事かも知れません。
我々の日本のコンテンツ、「和」のカルチャーも、この大きな流れの中で、コンテンツビジネスというメッセージ産業の中で、自己と他者を結び付けつつ、融合に向かいます。
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歴史、事例に学ぶ
*戦国最強と言われた武田信玄のフィロソフィー、「旗印」は「風林火山」。「疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し」という、ある種、勝つ為の方法論です。一早く天下統一の足掛かりをつくった織田信長の掲げた言葉は、「天下布武」。武で持って天下を制す。先ず京に上り地盤を整える、というものでした。結局、二者はその掲げた言葉通り、信玄は戦に勝ち、信長は京から天下に号令をかけるポジションを得ました。
一方、最終、戦国の世を制した家康の旗印は、「厭離穢土 欣求浄土」。戦国の世を制し、「穢れた現世を厭い離れ、極楽浄土を強く願う事。戦乱に疲れ果てた人民の意思、各国大名を同一ベクトルに纏め、稀に見る265年という長期の平和を実現しました。
江戸時代、全国で緻密な幕藩体制を整え、秩序を重んじる儒学の精神を普及させ、稀に見る265年に渡る平和を築きました。第一世代の家康から第二世代の秀忠から第三世代の家光まで「経営」の継承に成功した事により、継続する事業体制を構築。三世代への継承が成功すると永続化に向かいます。(但し、世界的視点では、鎖国により変化を避け、硬直した状態がイノベーションから取り残され、黒船、外圧から崩壊する結果を招きましたが。)
事業の永続化、経営の継承
我々のライセンス、コンテンツビジネスは、これから始まる激動の時代に必要な、世界の人々を一つの共感で繋いでいくメッセージ産業の一翼を担います。人々、人間ベースの動きが、国家間の分断と対立に向かう政治を抑制します。
ICAに於いては、第一世代の社長。第二世代の執行部、第三世代のメンバーと、それぞれは生身の人間です。ビジネスを動かす人間、一人一人には寿命があります。
一方で、企業は永続し得るものです。第一世代から第二世代。第二世代から第三世代。第三世代から第四世代へと経営が確り継承されていくと、企業は生成発展或いは循環し続けます。「経営」は学べるものであり、「組織」は仕組み化・システム化できるものです。但し、重要なポイントは、「一つの事業」にも「人間」同様に寿命があるという事です。従って、同一事業で同じルーティーン作業を続けるものは、必ず滅びます。
では何故、100年、200年と永続する企業があるのか。その組織には、常に、時代の変化に先駆けたイノベーションを起こす習慣があるからです。それを一人のリーダーに頼るのでなく、組織としてイノベーションを生み出す仕組みをつくる事。又、一人一人のスタッフが敢えてその意識を持って日々「新しい事」を考える習慣を持つ事。それが企業のDNAに刻まれ、常に進化、変化し、厳しい競争の中でサバイバルできるものが生まれます。
変化し続ける市場に対しては、意図的にイノベーションをし続けるDNA(遺伝子)を持つ事。同時に、個に頼らない組織体制、又、仕組み化を成していく事ができるなら、永続的な生成発展或いは循環が可能です。
(*我々の、流行り廃りの激しい音楽界で63年もの間、現役、最前線で活躍しつづけるバンド、ローリングストーンズ。骨太のリズム&ブルースのスタイルをベースに持ち、比肩するものの無いミックジャガーのボーカルやバンドの音作りの個性を持ちつつ、その時代、時代でロック、パンク、ディスコ、テクノ等、その時代時代流行るエッセンスを先駆けて取り入れて、今も進化し続けています。バンドメンバーの平均年齢、80歳!)